私らしさの原点
東京都出身。綺麗な物・楽しむ事が好きな祖母・両親は、幼少期より本物に触れる沢山の感動体験を通し、家族の絆、感性を育て、心が豊かである事の大切さを教え育ててくれました。
東京タワーの麓に広がる、緑豊かな芝公園でのびのびと育ち、父の「さあ今日は何をしよう」から始まる休日は、近所の散策だけでもワクワクしたものでした。家族で音楽とスポーツを楽しみ、スカウト活動でキャンプやボランティアも経験。少し足を伸ばせば、国家・政治経済を代表する建築物、銀座・築地・竹芝などの商業流通エリア、一流の芸術・歴史・生物・科学に触れられる施設も身近で、当時の私には「東京が人の溢れる大都会」と言うイメージは全く無かった気がします。
縁日・御神輿などの地元の文化。子供だけでも通い学べる施設も充実しており、幼い私の「やってみたい!」「楽しい♪」「出来た・分かった!」と言う純粋な欲求を満たしてくれたあの環境が、五感を刺激し、感受性を育み、現在の仕事に繋がる、好奇心とチャレンジ精神旺盛な私らしさの原点になっていると思わずにはいられません。
環境と心と身体
やがて、父方の祖父母のいる東北に生活拠点を移しましたが、父は元の職場に単身赴任。厳格な祖父、長男の嫁として家業を手伝う母の姿、言葉、慣習と言う環境の変化に何かを感じたのでしょうか、突然腰の曲がらない原因不明の病気になり転校入院。思いがけないベッドの上で授業を受ける2か月半の体験を通し、心と身体がとても密接な関係にある事、家族の絆、命の時間と隣り合わせで生きている同世代の子が沢山いる現実を成長過程で知りました。この時の経験は、私の一生涯の財産であり、リシェスが心と身体の健康「自分らしさ」にこだわる所以です。
大好きな音楽からブライダルの世界に入り、チャペルオルガン奏者、聖歌隊、披露宴司会と現場のキャリアを重ねた頃、結婚。出産を機に病は回復しましたが、次は乳幼児を抱え自宅で音楽教室をする難しさに直面。また、転勤族ゆえの、キャリアストップとコミュニティーのリセットが繰り返えされる現実に、素敵な友人たちと楽しく子育てをしながらも、1人の女性として強く不安を感じていたのを思い出します。
ライフステージの変化は女性を取り巻く環境を大きく変え、その時の心の状態によっては身体に悪い影響をもたらし兼ねない、環境と心と身体のバランスの難しさに、戸惑い奮闘していた頃、食空間の学びに出会いました。
テーブルコーディネートには必ずストーリーがあります。そして、それは日本・世界の伝統・歴史を学び、自分の感性でその伝統に今を加え、相手を思い沢山の優しさを食卓に表現するとてもクリエイティブな物でした。嬉しい時も、辛く悲しい時も、全力で頑張って来た好きと得意と経験の全てを私らしさとして受け入れてくれる優しいテーブルの世界は、私を癒し「卓育」として我が子の感性も育み、伝統と優しい心を次の世代に継承出来る、私らしい子育ての場となりました。
Richesse(宝物)な時間
子供と楽しみながら、マイペースにスキルアップを続け、次第には全国区のコンテストにも挑戦。初出展となったTALKテーブル作品展2016にて幸運にも「協会賞」(全国1位)を頂き、その後テーブルウェアフェステイバル連続入賞を果たすなど、憧れの東京ドームでの設営を家族総出で行い、楽しい思い出も作る事が出来ました。偶然始めたテーブルの学びは、私の世界を次第に広げ、生徒さん、作家様、企業様、教育機関、地域とのご縁を繋ぎ、今では、大学で教壇に立ち沢山の卒業生を送り出すまでになりました。
しかし、一方で、私に喜びと感動と、素敵な出会いをもたらしてくれるテーブルコーディネートが、高価な食器がないと出来ない贅沢な世界と誤解され、「卓育」に最適な子育て世代に敬遠されている現状がある事をとてももったいなく感じております。そんな思もあり、家族の為、自分の為、頑張る女性と子供の未来が「Richesse(宝物)な時間」になります様、私らしく応援させて頂きたいと思っています。是非、食空間を通し感性を磨き、あなたも上質な日常を大切な人と一緒に楽しんでみて下さい。
これからも、私らしく 今を感じ、心が豊かである事の大切さを沢山の皆様にお伝えしていけたら幸いです。
Richesse リシェス主宰 小林知恵子